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千葉地方裁判所 昭和52年(タ)113号 判決

原告 甲田春子こと 甲野春子

右訴訟代理人弁護士 安永博

被告 乙山太郎

主文

一、原告と被告との間に親子関係が存在しないことを確認する。

二、訴訟費用は被告の負担とする。

事実

(当事者の求める裁判)

原告

主文同旨の判決。

被告

原告の請求を棄却する。

(当事者の主張)

第一、請求の原因

一、原告は東京都立○○高等学校の三年生(満一八歳)である。

二、原告の母親訴外甲野花子は、被告と、昭和二九年秋ごろから同棲し、昭和三〇年八月二六日、婚姻の届出をして夫婦となり、昭和五一年一二月三一日、離婚の裁判確定により、離婚した。

三、右訴外花子は被告と婚姻後、同人との折合が悪く、昭和三一年一一月、被告のもとから去り、今日に至っている。

四、右花子は、昭和三二年秋ごろ、訴外丙川一郎と同棲をはじめ、その間の昭和三四年四月二八日、両名間に長女原告が出生した。

五、従って、原告と被告との間に親子関係はないので、右不存在の確認を求める。

第二、被告の答弁

一、請求原因一項は不知。

二、同二項は認める。

三、同三項のうち、訴外花子が、昭和三一年一一月被告のもとを去り、今日に至っていることは、認めるが、その余の事実は不知。

四、同四項は不知。

五、同五項は争う。

(証拠)《省略》

理由

一、《証拠省略》によれば、請求原因二項の事実が認められる。

二、《証拠省略》を綜合すれば、訴外花子は、被告と婚姻後、昭和三〇年九月一七日、両名間に長男秋夫を出産したが、被告との折あいが悪く、数回実家に戻ったことがあるが、昭和三一年一二月一七日か一八日頃、被告のもとから長男を残したまま家出し、以来、被告との音信は途断え、別居状態が継続していたこと、昭和三二年春頃、右花子は、横須賀市内において、訴外丙村一郎と知りあい、その頃から同人と同棲し、両名間に、昭和三三年四月三〇日長男である訴外冬夫が、昭和三四年四月二八日長女である原告春子が出生したこと、当時右花子と被告との離婚手続がなされておらず、右花子は、被告に住所を知られることをおそれた結果、右長男、長女の出生届出をなさないままに現在に至ったこと、昭和五二年一二月一〇日、右花子は訴外丙村一郎との婚姻の届出を経由したことが認められる。

三、右花子と被告は、上記のとおり、昭和五一年一二月三一日離婚判決の確定により離婚したものであり、法律上、原告は被告の子と推定されるところであるが、上記のとおり、原告は、右花子と被告との間の子ではない。

四、よって、原告の本訴請求を認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 大内淑子)

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